プロローグ
アジア大陸を旅し、奈良時代に日本にその源流が入り、平安時代に確立された「雅楽」。当時と変わらずミステリアスで神秘的な響きは今も残り、むしろ、現代人、特に海外の人々に新鮮な驚き、感動を与えている。
僕が雅楽の曲を始めて創ったのはちょうど10年前。東京藝術大学の企画展「法隆寺金色堂壁画展」の空間音楽の依頼からだった。
古典曲、新作を聴き込んで、勉強もしたが、まだまだ未知のことばかり。把握、理解なんて皆無に近いのかもしれない。
けれど、都内から那須に移住し、自然に囲まれて暮らす中で雅楽にさらに惹き込まれている僕がいる。一流の雅楽奏者、歌い手とグループを立ち上げたり、西洋音楽との融合をテーマしたプロジェクトに挑戦したり。
そして、2024年Disney製作のハリウッドドラマ『SHOGUN 将軍』に日本伝統音楽の総合アレンジャーとして召喚された。
世界各国で記録的な再生回数となり、サウンドトラックも高評価。同時に、雅楽、日本の伝統楽器、それらの奏者の皆が注目を浴びたことがこの上なく嬉しい。
作曲家、音楽監督としての活動に雅楽や伝統楽器を取り入れてきた僕だからこそ、雅楽と海外、西洋音楽の間に入ることができた、という自信も授かった。
今、「SHOGUN」「雅楽」に関する取材が殺到している。
しかし、僕は雅楽の専門家、研究者ではないので満足のいく説明、回答になっているのか不安になる。
でも、雅楽の魅力を多くの人に知ってほしいし、僕自身ももっと深めたい。
今後のためにさらに学びを深めている。
そんな話を、部屋に雅楽を流しながら、友人であるライターの青栁厚子さんにこぼした。
「千年以上前の人々の感覚が今も息づいているなんて凄い!」
「人知を超えている!」
「私も一緒に探らせてください」
厚子さんは雅楽の玄奥な存在に非常に強い興味を示してくれた。
果てしない作業なのかもしれないが、〝特段、音楽に精通しているわけではない〝という厚子さんと共に、厚子さんならではの視点を借りつつ、「雅楽」を探っていこうと思う。
厚子さん、よろしく。
written by Atsuko Aoyagi / ao.Inc.
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