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gagaku譚1:「SHOGUN」で再確認。雅楽はレイヤー&ミステリアス

2024.08.04
TOPBLOGgagaku譚1:「SHOGUN」で再確認。雅楽はレイヤー&ミステリアス

 

 

Disney製作のハリウッドドラマ『SHOGUN 将軍』。

戦国時代末期。織田信長の意思を継ぎ、長らく続いた戦乱の世を鎮めた太閤(inspired by 豊臣秀吉)が亡くなってから、1600年関ケ原の戦いまでを描いている。

天下統一を果たした天下人、SHOGUNは不在。跡継ぎはまだ幼い。露呈する、各々の領土を治める武将の中でも特に強い権力を持つ有力大名らの確執。

物語は、太閤も恐れた権力を誇る真田広之演じる関東領主、吉井虎永(inspired by 徳川家康)が、彼を疎ましく思う大名らに大阪城に呼び出され、不当に領土を拡大し、世継ぎの母を人質としていると糾弾され、窮地に追い込まれるところから始まる。

時は同じ頃、イギリス人航海士のジョン・ブラックソーン(inspired by ウィリアム・アダムス)が乗り込んでいた船が、とある漁村に漂着する。

 

権力争いだけでなく、西洋のキリスト教のカトリックとプロテスタントの対立、布教、交易にとどまらない思惑を孕んだ日本への諸外国の進出も複雑に絡まる。

 

物語全体に不穏、不安、不安定、混沌な空気が重く漂い、

サムライ、宣教師、日本人、外国人、敵、味方、キリシタン、反キリシタン、男と女。世相、末法。感情、風土、民俗、文化、時代が重く折り重なる。

 

外国と日本、善とか悪とか、はっきり分けられない。それがリアル。この世は「重なり(layer)」なのだ。

 

「レイヤー」

 

「SHOGUN」のサウンドトラックはその空気感を、正に「レイヤー」で表現、いや、醸している。

 

音楽制作を担ったアカデミー賞のオリジナル作曲賞受賞経験もあるアッティカス・ロス、レオポルド・ロス、ニック・チューバたちは「SHOGUN」の世界に合う音楽を追求した。本物の日本、当時の日本を音でも表現したいと、現代音楽も含め様々な角度で日本の音楽を研究したという。

そして、「雅楽」の楽曲制作やプロデュースも手掛けていた石田多朗(以下、多朗さん)にたどり着いた。未知の日本の音を求めて大海原を勇猛果敢に突き進み、嵐に屈せず漂着してくれたような、彼らの探究心、プロフェッショナル精神に感服する。

 

 

今回の制作では、雅楽にとどまらず、三味線、尺八、胡弓、ほら貝などもレコーディングするに至ったが、多朗さんが核としたのは「雅楽」。「雅楽」の響きがリアルな日本の歴史感、時代感、空気感、そして、外国人から見た当時の日本人のミステリアス感を生んだ。

 

「ミステリアス」

 

「雅楽」は、正に「レイヤー」、「ミステリアス」なのだ。

 

 

なぜ、レイヤーで、ミステリアスなのか。

探っていきたい。

 

 

written by Atsuko Aoyagi / ao.Inc.

 

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