※多朗さんに「雅楽」「伝統音楽」などについて聴いた時の会話の一部を抜粋し、お届けします。
雅楽に関連したり、しなかったり。つい盛り上がってしまったお話なども、お楽しみください。
私(青栁):多朗さんの家ではずっと雅楽が流れているんですね。
多朗(以下、多):かけていて大丈夫?
私:無問題です。曲にもよるのかもしれませんが、雅楽って思考の邪魔をしないですよね。
多:雅楽って矢印が僕らに向いていないもんね。
私:環境音とかに近い感じがします。
多:する!する! 映画とか、今の音楽ってめちゃくちゃハートにさしてくるけれど、雅楽は明らかに違う方向を向いている。
雅楽には最も大切な演奏「恒例御神楽之儀(みかぐらのぎ)」(賢所御神楽・かしこどころみかぐら)というのがあって、宮中で一年に一度(12月中旬)、誰もいない空間に向かって演奏するの。「神」に向かって6時間くらい。天皇陛下すら聴いたことがなくて、楽人以外はかがり火を換える人など一部の関係者しか聴くことができない。それが今も行われているってすごいでしょ。
私:え!神に向かっての曲、唄、演奏の仕方が継承され、残っている。演奏をできる奏者もいるということですよね。ええ、日本ってすごい!
多:そうなの。いろいろな変遷を経ているとはいえ、日本ってなんか度胸があるよね。千年以上前の曲、その曲を奏でる精神性が今も伝わり、演奏され、実際に儀式としても残っている…。宮中の御神楽之儀の演奏を僕たちが聴くことはできないけれど、他の曲は聴くことができる。雅楽楽器の音色を聴くことはできる。
最近、〝雅楽の響きを映画、アニメなどの映像と結び付けたらどんな効果が得られるのだろう〟と強く考えてしまう。
私:わぁ、絶対、取り入れてみてほしいです。無二の世界、空間が広がりそう。
余談譚の補足譚:
「国風歌舞」の中に「御神楽」があり、御神楽の組曲、10数曲すべてを演奏する儀礼を「御神楽之儀」と呼びます。「御神楽之義」は国風歌舞の中でもとりわけ神聖な歌舞です。
今回話題となった「恒例御神楽ノ儀(みかぐらのぎ)」(賢所御神楽・かしこどころみかぐら)は、毎年12月中旬に宮中で行われています。一般に公開されていませんが、宮中賢所(かしこどころ)の前庭に篝火(かがりび)がたかれ、夕刻18時ごろから深夜0時過ぎまで、静寂の闇夜の中で厳かに行われるそうです。
※伊勢神宮や春日大社、鶴岡八幡宮、伏見稲荷大社などでは、御神楽の一部が祭礼などで奏され、一般公開されている例もあります。
ちなみに現代における「雅楽」という総称には、
1.飛鳥・奈良時代以前から行われてきた日本固有の古楽に基づく「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」
2.飛鳥・奈良時代以降に朝鮮半島・中国大陸・インドなどから渡来した外来音楽(曲と舞)
3.平安時代に発達した歌物「催馬楽(さいばら)・朗詠」
が含まれます。
千年以上、伝承されてきた雅楽。それぞれどんな曲があり、どんな特徴があり、どのような楽器が使われているのか。どのような気持ちで演奏し、聴いていたのか。その中で醸成された美学、美意思、表現のかたち。調べれば調べるほど興味は深く、現代を生きる私たちに新鮮な気付きをくれる。
いや、本来私たちが秘めているはずの、何というか「願い」のようなものを湧現させてくれる気がしています。
written by Atsuko Aoyagi / ao.Inc.
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