大三島での公演と、伊東豊雄さんとの対談

2025.12.29
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大三島での公演と、伊東豊雄さんとの対談

先日、愛媛県・大三島にある今治市岩田健母と子のミュージアムで笙とピアノによるコンサートを行いました。
その流れで、このミュージアムの設計者であり、世界的な建築家である 伊東豊雄 さんと対談する機会をいただき、その様子をYouTubeにアップしています。

伊東さんの著書は、僕が雅楽に出会うよりもずっと前から読んでいて、
「音楽ではできないことを、建築でやっている人」という印象をずっと持っていました。
なので今回の対談では、以前からずっと気になっていたことを、かなりストレートに聞いています。

印象的だったのは、思想が先にあって形が生まれるのか、
それとも作っているうちに思想がにじみ出てくるのか、という話題でした。

伊東さんは「設計中にずっと思想のことを考えているわけではない」と話しつつも、
条件を一つずつ解決していく過程で、結果的に“自分の考えていること”が形に影響しているのだと思う、と語られていました。
完成した建物を見ても「もっとできたはずだ」と欠点ばかりが目につく、という話もとても印象的でした。

対談の後半では、
・部屋ではなく「場」をつくりたいこと
・建築の中にいても、外にいるような感覚をどうつくるか
・人が自由に動き回れる空間への関心

といった話題が続き、自然や流れを重視する姿勢が一貫していることを強く感じました。

個人的に深く共鳴したのは、
雅楽が「自然と一体化するための音楽」であることと、
伊東さんの「自然の流れをできるだけ阻害しない建築」という考え方が、
とても近い場所にあると感じられた点です。

音楽も建築も、
完成された“モノ”というより、
その場で起こる出来事や、人の動き、時間の重なりによって意味を持つものなのだと思います。

大三島という場所、ミュージアムという空間、
そして公演のあとにこの対話ができたこと自体が、とても豊かな時間でした。

対談の全文はYouTubeにアップしていますので、
ご興味のある方はぜひご覧ください。