こんにちは!石田です。
最近、雅楽楽器による作曲を依頼されることがずいぶん増えてきました。
もちろんぼく自身、もともと雅楽という音楽の存在は知ってましたし、
大学時代に雅楽の講座を受講したり、雅楽楽器の演奏法を習ったこともあります。
ちょっとした体験ではありますが、普通の音楽家以上に雅楽に触れてきてはいたものの、それでもまさか将来、自分が雅楽による音楽を作曲することになるとは思ってもみませんでした。
なぜかというと、
雅楽は古典雅楽、つまり平安時代からいままで続いてきた曲を、できるだけそのまま残しつつ演奏する、というルールがある
と信じていたからです。
(ちなみに、大学時代にも、古典雅楽しか習いませんでした。)
なかには近代以降の日本の作曲家が雅楽楽器による曲を書くことはもちろん、あります。(「現代雅楽」と呼んだりします。)
ただ、現代音楽というものは、音楽の先鋭性を追求するあまり、なかなか日常の生活のバックグラウンドにすることは難しい曲が多いのが現実です。
それに対して僕が依頼される雅楽の音楽というのは日常や映像作品、美術館などで流れてもいいような、いわゆる「普段の生活でふっと聴きたくなるような雅楽」です。
いわゆる「雅楽」というと下に並べたような、たくさんの楽器が鳴り響いて混ざった複雑な音響をイメージすることが多いのではないでしょうか。
※ それぞれの楽器に対する個人的な印象はまたべつ記事に書いてみます!
・笙(しょう)
・篳篥(ひちりき)
・龍笛(りゅうてき)・高麗笛(こまぶえ)・神楽笛(かぐらぶえ)
・楽琵琶(がくびわ)
・箏(そう)
・和琴(わごん)
・鞨鼓(かっこ)・三の鼓(さんのつづみ・さんのこ)
・太鼓(たいこ)
・鉦鼓(しょうこ)
雅楽楽器は各楽器の音の特徴、視覚的な特徴もすごく強いのですが、これらの楽器が一緒に鳴ったときの音の宇宙はまさに雅楽としかいいようがない強烈なものです。
たくさんの雅楽楽器によるアンサンブルの場合、この印象が非常に強くなるために、音を聴いただけで、雅楽楽器や装束などがもつイメージが脳にパッと浮かび上がります。
音の力がもつすごさゆえに、たとえば、カフェとかで普通にこの音楽を流すと違和感を感じてしまうのでは、、というのが僕の考えです。
2014年、初めて雅楽楽器の作曲を依頼されました。
これは東京藝術大学の美術館で開かれた法隆寺展のための音楽でした。
まったく経験がないにも関わらず、この展覧会のための音楽を雅楽で作曲をしてほしいと依頼を受けたのですが、、これにはかなり苦戦をしました。
(このときの具体的な話についてはまた今後書いていきます。)
美術館の空間に古典雅楽を流すと、上にも書いたように、美術作品とは異なる雅楽的なビジョンが脳内に浮かび上がってしまい、お客さんはせっかくの展示を楽しむことが難しい。
でも、雅楽楽器で音楽を作らないといけない。
どうしたらいいのか、かなり悩んだのですが、、
結果的に、答えは簡単でした。
すべての楽器を使うことをやめて、楽器の数をガクっと減らしてみたんです。
雅楽は各楽器の音の魅力が素晴らしく、単体でも十分に素晴らしい存在感があります。
また、各楽器ごとのソロや小さな編成での曲には耳馴染みの良い、身近に感じられるいい曲がたくさんあることも知りました。
つまりはぼく自身が、雅楽はこうでなくてはならない、と自分で自分を縛ってしまっていたわけです。
このときに作曲をした曲は法隆寺金堂壁画に関する展示で美術館のためのものでした。
他には例えば楽琵琶の独奏曲として、こういった曲も作っています。
SpotifyやApple Musicなどはこちらから。
石田多朗 / あそび
https://artists.landr.com/628810427499
それと、ぼくは関わってはいないのですが、おすすめのアルバムがあります。
楽琵琶の名手 中村かほるさんのソロアルバム「ゆすら」はものすごくおすすめです。
楽琵琶の秘曲やかほるさんのオリジナル曲が入ったアルバムで、
雅楽でありつつ、これこそカフェでもどこでも馴染む、素晴らしい音楽です。
ぜひご一聴ください。
中村かほる / 山桜桃
https://www.youtube.com/watch?v=DV8gqMe74Fs
アルバムのご購入はこちらから
https://musashino-gakki.com/product/?p=100134
また、雅楽の作曲や相談などがもしありましたら、
下記ページからお気軽にお問い合わせください。