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雅楽の作曲 おすすめの本 その1

2022.06.12 最終更新日:2022.12.08
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雅楽楽器で作曲をするとき、

それぞれの楽器が出せる音域や音階などがわからなくなって

混乱することが、いまでもあります。

そんなときにぼくが参考にしている本を1冊、紹介します。

 

日本楽器法/三木稔(音楽之友社)

音楽之友社から出ている

日本楽器法(三木稔著)

www.amazon.co.jp/dp/4276106958

正直、ちょっと値段が張るうえにかなり地味なのですが、

個人的にはそれだけの価値がある買い物でした。

雅楽の作曲をする上で実用的な本

この本、雅楽に限らず、邦楽全般について書かれています。

なので、雅楽自体の情報は、じつはそこまで掲載されていません。

情報が少ないと言ってもいいくらいです。

が、それゆえに

雅楽楽器で作曲をするときに

必要な情報だけがコンパクトに書かれていて、

余計なことに気を取られずに済むんです。

じつはそこが一番気に入っています。

僕は音楽の研究者ではなく、あくまでも作曲家なので、

この本が学術的に、誤りがまったく無い完璧な内容であるかどうかは

さほど気にしていません。

それよりも、

ぱっと開いて、さっと必要な情報がわかること

みていて、なんとなく見ていてテンションが落ちないこと

この2点を重要視して資料を選択しています。

一つ一つの雅楽楽器について、

あまりに細かく説明が書かれていたり、

難しいことが書かれていると、

それは本としては素晴らしいのだけど、

作曲をしているときには

必要な情報にアクセスしづらかったり、

本来の目的とはちがう情報に気が行ったり(気が散ったり)

権威的な本だった場合、なんとなく堅苦しい気持ちになったり

することが多い。

なので、さぁ作曲するぞ、というときには

シンプル、かつ余計な情報を与えてこない

こういう本が一番使い勝手がいい。

具体的なページ

例えば笙の項には

一)構造

二)基礎音階と運指

三)音域・音色

四)吹奏の技術

五)手の技術

が9ページの間にぎゅっとコンパクトに

まとまって掲載されています。

↓これは 一)の構造のページ。非常にわかりやすい。

篳篥の音域のページ

龍笛の基礎音階

楽琵琶の調ごとの開放音

このあたりのページはしょっちゅう開いてみています。

見ていて、全然心がざわざわしてこないんです。
↑これ、かなり重要な要素だと思います。

作曲は自由に。枠におさめるのはあとで。

さきほど、学術的な正確さは求めていない、と言いましたが、

もちろん、本当は正しい方がいいに決まっています。

ぼくも雅楽楽器の譜面を書いていて、

これまでに何度も内容や書法を間違えています。

こういうミスを避けたり、カバーするためにはどうするのがいいか。

これは知人・友人に雅楽奏者が入る人限定の技になりますが、

普段ご一緒しているプロフェッショナルの雅楽演奏者に

直接相談をする。

 

これが一番、確実かつ簡単かつ早いです。

作曲をするときにはある程度の自由さ、心の余裕が必要なので

あまり固くならずに作曲をしたい。

最初から枠をはみ出ないことを意識しすぎると、
想定内の範疇におさまった曲になってしまってつまらない結果になることが多いし、

そもそも作曲しているときも面白いと感じられなくなってしまいます。

なので、作曲をするときの参考資料はこのくらいシンプルなものにして、

枠に納めるのはそのあとでなんとかする!くらいの気持ちで作ってみてもいいのではないでしょうか。

それでは、また!