

那須を代表する温泉宿 那須別邸 回 にて、館内に流れる空間音楽の制作を担当しています。
本件は、那須塩原の名宿 山水閣 が提案する新しい旅館づくりの一環として始まりました。
最初のきっかけは、別邸回の片岡さんが、那須で行われていた私の雅楽演奏や映像を目にしたことでした。
那須の自然にすっと溶け込む音楽のあり方に触れ、「この宿の空間に流れる音楽を、既製のBGMではなく、根本から一緒に考えたい」と感じていただいたことが、相談の出発点でした。

那須別邸 回は、「自然に間借りするように宿を営む」という明確な思想のもと、環境への負荷を最小限に抑えながら設計されています。
その背景には、那須連山や温泉の長い歴史、そして人間がこの地に滞在する時間の短さへの深い自覚があります。
求められていたのは、空間を飾る音ではなく、自然と人との関係性を静かに結び直す音楽でした。
そこで、時間帯ごとに異なる楽器と質感を用いた楽曲構成を提案しました。
朝から昼にかけてはピアノ、チェックインから夕刻までは雅楽器「笙」、夜には「楽琵琶」。
外と内、昼と夜、動と静がなめらかにつながっていくよう、滞在のリズムそのものを音で設計しています。

結果として、音楽は主張する存在ではなく、
那須の空気や光、湯の感触と並んで、宿の体験を形づくる要素の一つとして自然に受け取られるようになりました。
「音楽があることで、空間の感じ方が変わった」「滞在の記憶として音が残る」
そうした声も寄せられています。
本件は、楽曲を納品する仕事ではなく、
その場所が何を大切にしているのかを汲み取り、空間全体の在り方として音を組み込むというプロジェクトでした。
Drifterでは、建築や自然、時間の流れまで含めて考えながら、
その場に固有の音楽体験を一からつくっていきます。
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那須にお越しの際には、『那須別邸 回』で
穏やかで本質的な那須の魅力をご堪能ください。
