

京都大学において、日本各地から集まった有志の学生に向けた講演・講義を行いました。
研究・産学連携を担う本企画の責任者からは、伝統芸能や伝統音楽を語れる専門家は多いものの、
テクノロジーや多様なエンターテイメントが前提となった現在の社会において、
若い世代に向けて「なぜ伝統音楽や日本の美学が面白いのか」「それを学ぶことが、いま何につながるのか」まで含めて、
現在の言葉で橋渡しできる語り手がなかなか見当たらない、という相談が寄せられました。
単なる保存や解説ではなく、現代の感覚と自然につながる入口をつくることが求められる中、
石田多朗は『SHOGUN』において、科学的な視点と日本の伝統音楽を最先端の作曲技術とともに扱ってきた経験を踏まえ、
雅楽や伝統音楽を技法や歴史としてではなく、「思考の構造」として捉える構成で講義を行いました。
なぜその音楽が生まれ、どのような背景の中で現在のかたちに至ったのかを、
音楽が持つ特徴に触れながら丁寧に言語化していきました。
その結果、私たちが日常的に聴いている音楽とは根本の設計思想が異なること、そしてその“根本”が日本文化の源流に連なっていることが、参加者のあいだで共有されました。
伝統は「守る対象」にとどまらず、未来を考えるための知的リソースとして受け取られ、専門分野の異なる登壇者と学生のあいだに、音楽と思考を共通言語とした対話の軸が自然に生まれました。