

2022年4月にリニューアルオープンした、星野リゾート 青森屋のショー会場『みちのく祭りや』にて、音楽プロデューサー(音楽監督)として音楽制作を担当しました。
依頼は、空間演出・映像制作を担うLIL(Visual Art Studio)から。約1年半にわたる長期プロジェクトとして関わりました。
本公演の特徴は、青森屋のスタッフが出演・演奏者として舞台に立つこと。
日々上演されるショーとして成立させるためには、作品としての完成度だけでなく、運用・継続を前提とした音楽設計が必要でした。

企画初期に共有されていた主な課題は次の通りです。
伝統として続くお囃子を、どこまでアレンジするか(“らしさ”を残しつつ現代のショーとして成立させる)
デジタル/映像演出の強度に対して、音楽が過剰に説明せず、しかし熱量は損なわないバランス
城下の祭りの熱気を舞台上に立ち上げながら、宿泊者が自然に没入できる体験設計
ホテル業務と並行して舞台に立つスタッフが、継続的に演奏できる仕組み(稽古計画、演奏構成、音の負荷設計)

本件では「楽曲を作る」だけでなく、舞台体験として音楽が機能する構造を設計しました。
公演全体のテンション設計(導入〜展開〜終幕までの熱量カーブ)
伝統要素の扱いの方針化(残す/変える/置き換えるの線引き)
映像・演出・衣装・舞台機構と矛盾しない音像の設計
稽古と運用を前提に、演奏の成立条件(編成・難易度・体力・集中)を調整
演奏指導陣・音響チームと連携し、舞台上の音の出方(生音/拡声/再生)の整合を取る
多数のブレスト、打ち合わせ、現地滞在での制作と検証を重ね、演者・制作陣が同じ判断軸で更新していける状態をつくることを重視しました。

リニューアル後の『みちのく祭りや』は、映像・空間・衣装・演技・音楽が一体となったショーとして再構築され、宿泊体験の核となるコンテンツとして運用されています。
また、スタッフ出演者の継続的な上演を前提にした音楽設計により、「作品としての完成」と「日常の運用」を両立させた事例となりました。


