

2020年、新宿中央公園を舞台に展開されたナイトウォーク体験
CRYSTAL STORY – 忘れられた森と女神 – にて、
音楽監督・作曲・音楽制作を担当しました。
本企画は SQUARE ENIX による新たな体験型シリーズの第一弾として構想され、空間演出を担う映像チームからの依頼で始まっています。
相談の段階で共有されていたのは、「夜の公園」という実際の都市空間の中で、どうすれば来場者の没入感を保てるかという点でした。
ファンタジーの物語を扱いながらも、子ども向けに寄せすぎず、大人も自然に入り込めるトーンを維持したい。さらに、光や映像、謎解きといった要素が重なる中で、音楽が体験を引っ張りすぎず、しかし確実に感情を動かす役割を果たす必要がありました。
音楽監督として重視したのは、楽曲そのものの印象よりも、歩く・立ち止まる・考えるといった行動の流れに、音がどう作用するかという点です。
ナイトウォークという形式上、音楽は常に耳元で聴かれるものではなく、夜の森や都市の気配と混ざり合いながら、体験者の感情を静かに揺らす存在であることが求められました。
結果として、音楽は物語や謎解きを説明するものではなく、体験の温度を保つための層として機能し、来場者が物語世界に入り込む流れを途切れさせない役割を担いました。
展示ブース内での体験イベントとしても高い評価を受け、ナイトウォークという形式における音楽のあり方を示す事例となっています。
本件は、あらかじめ完成形が見えている仕事ではなく、物語・音楽・来場者の行動をどう組み合わせれば体験として成立するかを、企画段階から一緒に考え続けたプロジェクトでした。
Drifterでは、音楽制作にとどまらず、構想や感情の動線まで含めて、体験全体を設計する仕事に取り組んでいます。