現在、2023年6月、AI技術の発展が我々の生活を大きく変化させつつあります。
OpenAIのChatGPTを始め、AIはプログラミングや日々の業務処理から、
ビジュアルコンテンツの制作まで幅広く活躍しています。
この波は当然ながら、音楽の領域にも影響を及ぼしていますし、
近い将来、映像の効果音付けや簡単な作曲はAIの専門分野となることでしょう。
一部の人々はが自分の仕事がAIに取って代わられることを恐れる一方、
他の人々はAIによって生産性が飛躍的に向上する可能性を期待しています。
しかし、ここで一つ思うことがあります。
AIによる音楽は必ずコンピュータ内で生成され、"スピーカーから"発せられます。
しかし、現実の世界では、スピーカーから出てくる音はほんの一部に過ぎません。
カエルの声、風が葉を揺らす音、人の歌、バイオリン、ガラスが割れる音などなど。
ほとんどの音はそれぞれの源から直接発せられます。
つまり、この世のほとんどの音はAIとは関係なく鳴り続けているわけであり、
音・音楽の世界を席巻するということはそもそもありません。
AIに翻弄され、熱狂するのも面白いけど、
いま、このシンプルな事実を見つめてみてもいいように思います。
私はいま、AIに向き合うとともに、AIがタッチできない音の世界を模索したいと考えています。
たとえば、自然が鳴らす楽器。
風鈴や鹿威し、水琴窟などのように
風や水などが鳴らす楽器はいまの日々の忙しない世の流れからは
距離を置いて自分が安心して音と向き合えるものです。
札幌に住む友人でガラス作家の青木茉由子さんが作成した風鈴はその素晴らしい例です。
https://www.instagram.com/p/CdCMwHJPC3p/
いま、青池さんが作られるガラスによる楽器(音の出るオブジェ)を
商品として展開できないかを模索しています。
日々AIについて学びつつ、AIとは無関係な自然の音を聴く時間も大切にしています。
私が目指す音楽の形は、単に作曲や演奏に留まりません。
いまは自然(水、風、雪、雨、など)が音を鳴らすオブジェクトを世に広めること。
これも自分の音楽活動の一部だと考え始めています。
もしかすると、この探求の先にAIと自然が調和した音の世界があかもしれません。
人間が創り出すだけではなく、自然そのものが奏でるものも音楽と捉えてみたい、
AIが生み出す音楽の進化にワクワクしつつ、同時に自然の音を追求したいと考えています。
ここで大事なのは、AI技術と自然音の探求は一方が他方を排除するものではないということです。
むしろ、これら二つの視点が相互補完的に作用し、
新たな音楽の地平を切り開くことが可能になるのではないかとイメージしています。