このページでは日本のお正月によく耳にする音楽のひとつ
雅楽の「越天楽」について説明をします。
毎年お正月になるとテレビや神社などで流れる定番の曲があります。
これらの曲を耳にしない正月はありませんが、
じつは、これらの曲はすべて箏(お琴)のための音楽です。
(正確にはさくら変奏曲のみ箏(お琴)と胡弓という楽器のための音楽で、
それ以外は箏(お琴)を一人で演奏します。)
これらのなかで最も古い曲(六段の調)でも17世紀以降に作られたもので、
六段の調、さくら変奏曲、春の海に関しては
宮城道雄の手によるものですから、20世紀以降に作られています。
日本の歴史でいうと、かなり最近になってできた音楽ということができます。
そんなお正月の定番曲のなかでもひときわ目立つ曲があります。
神社や寺院などで耳にする独特な響きをもつ音楽=雅楽の曲で、
名前を『越天楽(えてんらく)』と言います。
箏曲が古くとも17世紀以降、ほとんどが20世紀以降の音楽であるのに対して、
雅楽はその発祥が1400年前、現在の演奏の形に定まってきたのが
8世紀末〜9世紀頃と言われています。
雅楽は、日本ではもちろんのこと、世界でも最古の音楽藝術の一つなのです。
雅楽は普段なかなか聴く機会のない音楽ではありますが、そのレパートリーは膨大にあります。
その中でなぜ「越天楽」だけが正月に流れるのでしょうか。
「越天楽」の由来というのはいまでも定かではないそうですが、
もともとはお寺などで儀式が行われた後に開かれた演芸大会などで演奏をされたと言われています。
つまりは、とくにお正月にまつわる音楽ではないはず。
ただ、「越天楽」は雅楽のたくさんの楽曲のなかで最も有名な曲であることは確かです。
「越天楽」は雅楽の中でもメロディが短く、耳にも馴染みやすい曲です。
その結果「黒田節」といった曲や、流行歌、賛美歌などにアレンジされた経緯があります。
この短くキャッチーなフレーズがあったために、
基本的にはそうそう簡単にアレンジができない雅楽の曲目の中でも唯一「越天楽」だけが一般に広がっていったと考えることができそうです。
つまり、お正月には日本の伝統的な音楽を聴きたい。
日本の伝統的な音楽といえば雅楽、
そして、雅楽といえば・・「越天楽」。
という理由で「越天楽」がお正月に使われていると考えて良いのではないでしょうか。
ちなみに、少し細かくいうとじつは越天楽には
「平調越天楽」「黄鐘調越天楽」「盤渉調越天楽」と三種類があります。
それぞれは、ぱっと聞いてもまったく違う音楽に聴こえるのですが、
この中で有名なのは「平調越天楽」です。
(平調=ひょうじょう / 黄鐘調=おうしきちょう / 盤渉調=ばんしきちょう)
お正月に流れる雅楽の正式な名前はつまり、「平調越天楽」、というわけです。
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雅楽についてより詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
雅楽の歴史 | 中国、朝鮮、日本 ※専門的な内容になります。
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わたしたちは伝統音楽と縁が薄い方と、日本の伝統音楽を結びつける役割を果たしたいと考えています。
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石田多朗/陵王乱序
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