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真田広之主演「SHOGUN 将軍」サウンドトラック・日本伝統音楽の関わり

2024.02.10 最終更新日:2024.04.10
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ディズニー製作・真田広之主演「SHOGUN 将軍」サウンドトラック

 

ディズニーが手掛け、真田広之がプロデュースと主演を務めるハリウッドドラマ『SHOGUN 将軍』に

石田多朗が総合音楽アレンジャーとして参加しました。

 

SHOGUNサウンドトラック

ハリウッドの作曲家チームが2年間にわたって制作をつづけるなか、石田はリモートで日本から参加をしております。

音楽制作のバックストーリー

SHOGUNのサントラを作ったアッティカス・ロス、レオポルド・ロス、ニック・チューバは世界的に知られた音楽家です。

 

とくにアッティカス・ロスはこれまでにナイン・インチ・ネイルズというバンドで活動をしながら、

アカデミー音楽賞も数度受賞しており、世界的に多くのファンをもっています。

 

そんな彼らはなんと2年間もの長い時間を

SHOGUNのサウンドトラックの制作に費やしてきました。

 

その結果、このサウンドトラックは壮大でパワフルなだけではなく、

さまざまな音や時間が積み重なりあい、

複雑さの中にも繊細さが感じられる作品に仕上がっています。

 

経緯

 

石田はもともと雅楽に関する作曲を行っている日本でも珍しい作曲家ではありました。

東京芸大での法隆寺展や東京都庭園美術館などのために雅楽楽器による音楽を作ってきた経緯があります。

 

その結果、Instagram経由でニックからレコーディングのオファーがあり、今回の制作に携わることになりました。

 

雅楽の作曲ができる作曲家は日本でもほとんどいません。

 

また、石田は雅楽とは別に映像や空間の音楽も専門としています。

 

雅楽とムービーのどちらをも専門とする人間が

ほぼ存在しないため、石田にオファーが来たのだと思います。

 

アレンジの進め方

 

最初は雅楽のレコーディングから始まりました。

ニックたちはロサンゼルスにいて、石田は東京で日本の伝統音楽の演奏者をスタジオに招き、リモートでレコーディングを進めていきました。

徐々に規模はおおきくなり、雅楽だけではなく、三味線、尺八、胡弓、ほら貝など 様々な音楽をレコーディングするに至りました。

ときには柏にあるお寺に天台宗のお坊さんに集まっていただいて、聲明のレコーディングを行うなど、

一風変わったレコーディングやアレンジも行いました。

 

日本のサウンドトラックではあり得ない予算規模、アイデアでいろいろな仕事をすることができて、

本当に楽しかったです。

 

基本的には、アッティカスたちからシーンごとの音楽のスケッチや、より完成度の高い状態の音楽がデータとして
送られてくることが多かったです。

 

そのデモをベースに、「このスケッチの一部を日本伝統音楽の楽器に変えたらどうだろう」と言う相談があったり、
「このトラックに多朗だったら、どういう楽器を重ねる?」と質問をされ、石田の方からアレンジの提案をし、

レコーディングをすることもありました。

 

彼らは良い意味で、日本の伝統音楽に対する常識に囚われていないため、
こちらが想定をしていないような音響や音楽の空間が次々に生まれていきました。

 

エピソード

あるとき、ハリウッドで音楽を制作中のアッティカスたちからメールが届きました。

それは雅楽で使われる篳篥の音に関するものでした。

とある神妙なシーンで流れる篳篥の音が、コントのようにふざけた音に聴こえて吹き出してしまうというスタッフが

いるというのです。

アッティカスたちにはぜんぜんそう感じられないのだけど、多朗はどう思うか?と質問をされました。

 

ときにはこのようにアメリカ人にはわからない、日本人の感覚について質問を受けることもありました。

 

ちなみにこのときには、ぜんぜんおかしい要素はないので、そのままで良いと思います。

と答え、そのまま篳篥の音が使われることになりました。

 

篳篥はこういった音がでます。

 

実際にレコーディングに参加をした中村仁美さんにこのお話をしたところ、

篳篥というのは不思議な楽器で、コンサートなどで演奏をしたら子どもたちが笑い出すこともある、

とおっしゃっていました。

 

雅楽楽器は奥が深い・・!

 

 

日本の伝統音楽の関わり

わたしたちは雅楽を始めとした日本の伝統音楽や、美術(民藝や伝統工芸)がこれまで培ってきたものを

次世代にいかにうまく継承させていくかを日々考えています。

 

そんな中、ハリウッドという世界のエンターテイメントの中心からわたしたちに日本の伝統音楽に関する

アレンジメントやレコーディングを全面的に依頼をされたのはとても嬉しいことでした。

 

雅楽や日本の伝統音楽だけではなかなか広がらない、届かないところまで、

日本の文化が広がっていく事を素直に嬉しく思っています。

 

 

『SHOGUN 将軍』レコーディング風景

本当に多くの素晴らしいミュージシャン・僧侶・エンジニアの方に関わっていただきました。

ここではそのうちの幾つかの写真を掲載します。

 

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『SHOGUN 将軍』サウンドトラック・クレジット

 

作曲

 アッティカス・ロス

 レオポルド・ロス

 ニック・チューバ

編曲

 石田多朗

篳篥

 中村仁美

 三浦元則

楽琵琶

 中村かほる

龍笛

 伊崎善之

 音無史哉

聲明監修・指揮

 宮内康乃

聲明

 山井惠澄

 山岡孝至

 須永秀憲

 沼尻了人

 中澤聖尚

 月門英真

 沼尻憲尚

 牛久智充

 戸部憲海

 橋本健二

 辻井利英一

 戸田小路

 西田秀隆

 染野ヒラシ

尺八

 黒田鈴尊

三味線

 田中悠美子

胡弓

 木場大輔

法螺貝・チューバ

 高岡大祐

 松本こずえ

レコーディングエンジニア

 ハラマサト

 鹿間朋之 (江戸前レコーディングス)

アシスタントエンジニア

 笠原新太郎

 Chloe

レコーディングスタッフ

 益子悠紀

 室井みゆき

 石田曜

スタジオ

 Studio TLive

 STUDIO MECH

 江戸前レコーディングス

 

 

SHOGUN サウンドトラックデジタル配信

 

『SHOGUN 将軍』のサウンドトラック、ぜひチェックしてみてくださいね。

SpotifyやApple Musicで聴けます。

SHOGUNサウンドトラック

 

SHOGUNサウンドトラック

 

 

 

 

掲載メディア

読売新聞オンライン

那須町の作曲家・石田多朗さんがハリウッド製作ドラマの劇中音楽を手掛ける大役を果たす

UDISCOVERMUSIC

3人の作曲家たちに聞く、戦国スペクタル『SHOGUN 将軍』の音楽的アプローチ

VERIETY

‘Shogun’ Composers Spent More Than Two Years Composing Four Hours of Music